地下の空間

513 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/07 23:03
 
まだ就職したての頃、高級住宅街(砧)に家を購入した大学時代の友人に部屋を貸してもらっていた。
労働時間の長い職種に入ってしまい、毎晩死んだように帰宅すると寝ていた。


513 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/07 23:03

そんなある晩、外の階段を下りてくる気配がした。そう、自分の部屋は地下にあった。
いきなり体が動かなくなった。
そして「なるほど!生まれ初めての金縛りか!」と面白がっていた。
そんな夜が続いたのだが、実はあまり怖くなかったのだ。
毎日の重労働のため疲れているから、
脳味噌が起きているのに体が寝てしまって、このような『金縛り』を起こさせているのだと思っていた。
実に科学的に、自分の身に起こっている事を観察していたのだった。




513 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/07 23:03


ところがそんなある晩、本当になにかが階段を下りてきた。
その『なにか』はいつもと違い、部屋の中まで入ってきたのだ。
そして動けない自分の寝ている顔をじ~っと眺めているのがわかる。
「やべ~、これはちょっと違うぞ!科学的な金縛りじゃね~ぞ!」と。
・・・気がつくと次の朝になっていた。
金縛り慣れしていた自分に突然起こった現象を、どう説明してよいのかわからなかった。
でも仕事は続く、毎晩疲れている。
毎晩その『お客さん』は訪れる。

そしてとうとう起きた。
また階段を下りてくる気配を感じ、「あ~また来たよ」と憂鬱になっていると、まだ体が動くことに気がつく。
「よし!」
大声で、
「たのむからたまには同居人の部屋に行ってくれよ~! 
 俺、明日仕事で早いんだよ、お願いだよ~!」 
と叫んでしまった。 
その次の朝、同居人が「昨日さぁ~俺、生まれて初めて金縛りにあっちゃってさぁ~」。

その後、収入も増えてその家から引越し、金縛りにもあいません。