廃墟の奥

517 :774RR:2011/07/08(金) 02:38:06.18 ID:aPI2PcGW

バイク3台、車一台で有名な心霊スポットに行った。
何人も死んだとか、帰ってこなかったとか、絶対に出るとか言われた曰く付きの場所だ。


517 :774RR:2011/07/08(金) 02:38:06.18 ID:aPI2PcGW

A君は中々に肝の座った男で、
実家が首切り場の跡地に被っていて、
子供の頃、庭に桜植え様とアナ掘っていたら、回収漏れのドクロを掘り当てたと言う、中々無い経験のある人だ。
A君は「18年首切り場の上で暮らしたが、幽霊なんぞ見なかった。そんな物はない!」と言うタイプの男で、
実際、名うての心霊スポットで1人で夜を明かすなど、“心霊スポットキラー”として有名(仲間内で)だった。

その日は何かが違って居た。
建物に入ると、冬なのに生暖かい空気に包まれていた。 
更に奥に進むと、微かに何かの気配が… 
ゴトッと言う音と共に、女性の泣き声が聞こえて来た。 
さあ、現場は大パニックだ。
恐慌を来たして皆が出口に走り出す。
流石のA君も……って、声のする方にズンズン歩いて行く。
「おい!戻って来いよ!」の呼びかけに、
「メソメソ泣いてる幽霊に馬鹿にされてたまるか!正体見てやる!」と、1人奥に入って行った。



518 :774RR:2011/07/08(金) 02:55:18.37 ID:aPI2PcGW

暫くしてA君が現れた。
その後ろには、虚ろな眼をした女性が…って、普通の女の子じゃん。
聞けば、一時間程前に15人で車に分乗して肝試しに来たのだが、
物音にパニックになった一同に置いてけぼりにされたとの事。
余りにも恐くてずっと泣いてるところを、A君に保護されたのだった。
A君は更に何に臆する事もなく探索をサクサクこなしたので、
なんか皆シラけてしまい、恐怖感も無くなってしまった… 
こうしてA君は、また1つ心霊スポットを制覇した。

因みに、置いてけぼりにされた女の子は、彼女の仲間内では、
「車に乗った時は隣に座っていたが、トンネルを過ぎれば消えていた」 
「無数の白い手が彼女を掴んでいるのを見た」 
など、すっかり“心霊スポットで消えてしまった人”扱いされ、
いい加減な仲間に嫌気が差し、自分達のグループと遊ぶ様になり、 
3年前に仲間内のB君と結婚した。