消えた客

362 :本当にあった怖い名無し:2005/09/03(土) 21:02:47 ID:SPvIsa7a0

電話関係の仕事をしています。
数ヶ月前のある日、都内某所のワンルームマンション。
そこはオートロック式のマンションで、三階建ての建物でした。築大体3年目位との事でした(ビル管理会社のお話)。
で、そのマンションのある所に、作業に行った時の話です。 

作業を行なう時は、必ず前日に確認の電話をうちの会社では入れます。 
私は連絡先に指定されていた携帯電話番号に連絡を入れました。 
大体8回位のコールのあと、その(仮にAさんとしておきます)Aさんが出ました。 
『・・・・・はい』
妙に沈んだ声です。
「お世話になっております、私○のBという物です。A様の携帯電話でございましょうか?」 
『・・・・・・・・・・・はい』
しばらく間をおいて、またえらく沈んだ声で返事が返ってきました。 
「・・・・・の件で、A様の作業ご希望日『明日・午後』となっておりますので、 
 明日・15時頃作業のためにお伺いしたいのですが、ご都合の方はいかがでしょうか?」
『・・・・・・・・・・・・・はい』
都合がいいのか悪いのか、はいと言う返事では判りませんが、取り合えず了承したと受け取り、
明日うかがうこと、作業開始前に携帯に連絡を入れること等を再度伝えます。 
この事前確認の時から変といえば変でした。 
何を言っても、少し間をおいて『はい』という返事しか来ないのです。 
でも、まあ妙な客はいますし、その時は『嫌な客・変な客系』の人じゃないだろうなという心配はしましたが、
特に気にもしませんでした。 


363 :本当にあった怖い名無し:2005/09/03(土) 21:05:00 ID:SPvIsa7a0

翌日、午前の作業を終えたあと、件のAさんの所に伺いました。 
賃貸マンションのため、ビル管理会社の人も同席します。 
近場のコインパーキングに車を止めマンションに向かう前に、これから伺う旨を携帯で連絡します。
『・・・・・・・・・・・はい』
「昨日連絡いたしました○のBですが・・・・」 
『・・・・・・・・・はい』
「昨日もご連絡いたしましたが、作業の方、これからお伺いいたします。 
 あと5分ほどで到着いたしますので、よろしくお願いいたします」 
『・・・・・・・・・・はい』
という、妙に沈んだ声で返事が返ってきました。 
同僚のCに昨日からのことを話し、
「絶対、危ない計の客だ。この間の○みたいな」と、決して客前では出来ない、今まで見た客ネタで話をします。 
「やだなぁ○って。この間の、あのヒッキーみたいな奴でしょ。あの部屋自体がやばかったですよね・・・・・・」 
そんなこんな話をしているうちにマンションに到着です。 
マンションの入り口にはビル管理会社の人(Dさんとします)が待っていました。 
お約束の名刺交換のあと、ロックを開けて貰うべく連絡をします。 
『・・・・・・・・・・・・・』
一回目のコールでは反応がありません 
二回目のコールで、しばらく間をおいて反応がありました。 
『・・・・・・・・・はい』
「先ほどご連絡いたしました○のBです。作業の方にお伺いいたしました。 
 ロックの方、解除してもらえませんでしょうか?」 
ガチャ 
返事の代わりにロックが解除されました。 



364 :本当にあった怖い名無し:2005/09/03(土) 21:10:55 ID:SPvIsa7a0

エレベーターに乗りお客様の階へ。(三階建てのマンションの三階でした) 
大体一つの階に6~7部屋あるマンションでした。 
エレベーターを降り通路に出ると、そのうちの一つのドアが開いていました。 
??? 
ひょっとしてドアを開けて待っていてくれているのだろうか? 
そのドアの開いている部屋がAさんの部屋でした。 
「ごめんください、○のBですが・・・・・・・」 
返事がありません。 
ワンルームマンションなので、扉が開いていると内部がほぼ全て見通せます。 
キッチンの先に部屋があり、そこの扉の開いています。廊下にあるバストイレらしい扉も開いています。 
が、部屋の中には誰もいません。
エアコンがついており、PCかテレビの独特の青白い光が見えます。 
カーテンは閉めてあり、奥の部屋は妙に薄暗いのが印象的でした。 
「Aさん・・・・・・」
管理会社のDさんも声を掛けますが、やはり返事がありません。 
ひょっとして行き違えたのかもしれません。 
同僚のCにロビーまで見に行ってもらいました。が、ロビーにはいなかったとの事。 
私、C、管理会社の人共に顔を見合わせます。 
私「出掛けているんですかね?」 
D「いや、でもロック開きましたし」 
C「極度の人見知りで、どっかに隠れているとか?」 
D「隠れる所なんかないですよ?」 
まあ、戻ってくるかもしれません。しばらく待つことにします。 
妙な出来事といえば妙な出来事ですが、
隣に行っているとか、緊急の用事で近所に行っているとか、そんな理由かもしれません。 
まあ、ドアが開いていたのは妙ですが、勝手にやってくれという事かも知れませんし。 


366 :本当にあった怖い名無し:2005/09/03(土) 21:15:22 ID:SPvIsa7a0

10分ほど玄関前で待ちましたが、Aさんは戻ってくる気配がありません。 
D「勝手に始めるわけには行かないんですか?」 
私「はい。やはりお客様の室内ですし、何か問題があったとき困りますから。
 お客様か、お客様指定の立会い者、またはお客様から書面の形の委任状のような物がないと、
 勝手に作業をするわけには・・・・」 
D「まあ、常識的に考えればそうでしょうね」 
・・・・・・・・・・・ 
D「ひょっとすると、中で倒れているとか、中に手紙があるかもしれませんし、私、ちょっと上がってみます」 
そういってDさんは、「Aさん、失礼いたします。」と心持大きな声で言った後に部屋に上がりました。
が、やはり誰もいなかったし、手紙や類する物もありませんでした。 
なんだか気味が悪くなってきました。 
Aさんの携帯に連絡しましたが、部屋に置いてあるのかコール音が空しく鳴るだけです。 
C「何なんですかね、これ?」
私「さあ?」 
D「何処いったんでしょうね?Aさん」 
何がなんだかわけがわかりません。
オートロックを解除した時まではAさんは居た筈ですが、
開け放たれた扉と、運転しっぱなしのエアコンと、起動したままのPC(Dさんの話)、
しかし肝心のAさんは居ません。
まるでマリーセレスト号事件のようです。
C「警察呼んだほうがいいんじゃないのか?」 
私「いや、でも事件じゃないし・・・・・・・」 
少々というか、かなり奇妙な気分がしてはいましたが、何時までも待っているのもなんなので、
建物自体への電話線の引きこみ口とMDFという所を見るために、 
私とCはDさんをAさんの部屋の前に残して、外回りとMDFの確認に行きました。 
外を見るとき、それとなく3Fのベランダを見ましたが、ベランダの見える範囲には人影はありませんでした。 


367 :本当にあった怖い名無し:2005/09/03(土) 21:16:55 ID:SPvIsa7a0

外回りとMDFを見たあと、再びAさんの部屋の前へ。 
が、Aさんが戻ってきていないとの事。 
結局30分近く待ちましたが、Aさんは現れませんでした。 
不在連絡を書いて、それを靴箱の上に置き、Dさんに携帯番号を教え、
何かあったときは連絡をしてもらう事にして、現場を去りました。 
妙な出来事に、車内でその謎解きになりました。 
変な人で、戸惑う我等の姿をビデオでとっていたのではないか? 
が、その意見を言ったCは、それらしいものを目に付く範囲で探したが、カメラを隠せそうなものはなかったとのこと。 
Dさんと話した時の話では、近所づきあいをする様なマンションではないとの事です。 
(まあ、ワンルームなら当然かもしれませんが・・・・・・) 
結局、事務所に戻り、処理をして、その作業の受付をした部門にお客様不在の旨を連絡しました。
上司に一応相談しましたが、この業界長い上司もそんな妙な出来事は初めてとの事でした。 
その後、Dさんから18時ごろ連絡がありました。
Dさんはその後2時間ほどもAさんを待っていたが、結局Aさんは現れなかったとの事。 
結局、勝手に扉を閉めるわけにも行かないので、そのまま一筆書いて現場を去ったとの事。 
妙な気分を通り越して、なにやら背筋が寒くなりました。 

翌日、翌々日と、そのAさんに再作業の意思があるか確認の為にも連絡を入れましたが、応答がありません。 
その作業案件を受け付けた部門に問い合わせた所、そこもAさんと連絡がつかない状態との事。 
その作業案件は、いまだに『お客様連絡待ち』という付箋が付いた状態で、事務所の棚に置いてあります。
その出来事から2ヶ月ほどたっていますが、Aさんからの連絡はありません。もちろん受付部門にも。
書き込みをする前に試しにAさんの携帯に掛けてみましたが、コール音だけで連絡が付きませんでした。 


368 :本当にあった怖い名無し:2005/09/03(土) 21:19:56 ID:SPvIsa7a0

以上、長々と描かせていただきました。 
落ちは、今のところ特にありません。 
洒落にならない程の話ではないかも知れませんが、
私が経験した中で最も奇妙で、変な体験だったものです。