自転車が時を超えるのだ

997:17/07/13(金)23:01:54.30D:lpFCzRWt0

事故っておだぶつになった自転車を愛着あって4~5年家の庭に停めてた。修理には3万~くらいはかかる。形状も、自転車と知らなければわからないくらいのただの塊。

自分の初めての自転車で、高校の入学と同時に親が買ってくれた自転車。


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2年の時にトラックに巻き込まれ事故をした。幸い足の骨折だけですんだけど、自転車はただの鉄の塊になってしまった。
それを庭に放置したまま私は大学生になり、下宿してた。そこに祖母から電話が

「けいちゃん、警察が来て自転車を預かってるって」
意味がわからなかった。



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私が今までに所有した自転車は2台だけで、部屋に入れてあるロードバイクと、塊になった庭のアレだけだ。当時は防犯登録が自己責任だったのでしていない。

「間違いじゃない?」
「いや、ローマ字で〇〇KEIと家の住所が書かれてるよ?」
わけがわからなかった。

親父に詳細を説明して、帰ったら見てくれと言って待っていた。確認後、電話で
父「お前の自転車だ」
俺「??は?塊は?」
父「ある」
俺「塊は違う人の自転車なのか?」
父「いやお前の自転車だ。塊だけど住所も名前もちゃんと同じところにペイントしてある」
俺「…」
父「…」

当時の3万は今の8万くらいの物で、同じ物がなかった。

そして当時は自転車に住所や名前を書くのが当たり前だった。ペンで書いたらダサいからと掘った溝にペイントした自転車だったんだ。


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俺の中学3年間時代に、父がコツコツと小遣いを貯めて買ってくれたプレゼントだった。だから捨てられなかった。その親父が「お前の自転車が2つある」と言った。

じつは私は怖かった。おれは実物を見ていない。何が起きたのか今でもわからない。
ただコツコツと小遣いを貯めて買ってくれた父が見間違えるはずがないんだ。ペイントも業者に頼んだものだし。

当時は気味の悪さがかなりあったけど、今になって考えてみれば、雨ざらしのままの塊になった自転車や、俺や父の思いが形となって現れたのかなとたまに思う。
そして、俺を除く家族会議で塊を処理しようということになった。ありがとうと言って送りだしてやろうと言ったのは祖母だった。

廃品回収に出す時にありがとね~、ととむらったと。
不可解な事に、玄関先の自転車置場に置いてあったあの自転車は、知らぬ間になくなっていたみたいだ。